2009年11月12日 (木)

ウィリアム・キャッスル中間報告

10数年間ほとんど引きこもりのように自宅で勉強や仕事をしていたので、父の介護が必要になって病院の方々に会ったり、介護センターの方々と打ち合わせをしたり契約を交わしたりするのが精神的に少々しんどかった。

そんなとき、どんな映画が自分をいやしてくれるかと言えば、バカバカしい作品で、ウィリアム・キャッスル作品なんて、うってつけ。とはいえ、こちらが思っていた以上にまともでした。特に「第三の犯罪」は傑作でした。「サイコ」にきっかけを得て作られたヒッチコック風スリラーですが、主人公の女性がステファーヌ・オードランに似ているので、1970年ごろのシャブロルの傑作スリラーみたいでした。この作品ではラスト5分に「最後まで見たくない人は退場してください」というような字幕が出るし、他の作品ではラスト近くに監督自身が登場して「主人公に罰を与えるべきかどうか観客の皆さん挙手してください」と言うし、幽霊が赤く塗られているので赤いセロファンを通して見ると幽霊が見えないという幽霊が怖い人のための工夫があったりするのですが、作品がちゃんとしているだけに、こういうチャチな仕掛けが、かえって邪魔っけに思えました。

英語字幕がなくて、完全にリスニング能力に頼らなければならないのがキツイです。このボックスセットについてのより詳しいことは9月16日に書いています。

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2009年9月18日 (金)

本日届いたDVD

1940年ごろコロンビアでキートンが出演した短篇10本を収めた2枚組が3年ほど前にアメリカのソニーから発売されていて、最近やっと見たくなってきました。1980年に出版された児玉数夫さんの「キートン!キートン!!キートン!!!」は、トーキー以降のキートン作品のことも詳しく書かれていて、20年代の傑作群しか興味のなかった私は早々に手放したんだけど、この機会に日アマゾンで古本を購入しました。でも、コロンビア時代の作品についてはほとんど書かれていませんでした。アメリカのクライテリオンから発売された「人間の条件」4枚組も本日届きました。

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2009年9月16日 (水)

ウィリアム・キャッスルの予習

アメリカのソニーからウィリアム・キャッスルの8作品を収めたDVD5枚組が10月20日に発売されます。ファンタシウムで予約すると8千円少々。あそこは基本送料500円のほかに1枚につき150円かかるから、5枚組だと馬鹿にならないけど、円高だから、まあまあの価格。米アマゾンに注文すると、本体72.99ドル、基本料4.99ドル、何枚組であれ1商品につき2.99ドルで、計80.97ドル。1ドル91円として、7400円ほど。10年近く米アマゾンに注文して届かなかったことはないけど、何かあったときに日本語のわかるほうが安心だから、差額は安心料ということで。アマゾンは予約中に本体価格が下がったら、下がった価格にしてくれるようだけど、ファンタシウムはそんなサービスなし。ファンタシウムは、予約時に円建てで銀行振込すると、その時の価格で固定され、クレジットカードにすると、発送時にカード会社に請求が行われ、その時点での為替相場が適用されます。と、長々と書いてきましたが、自分が適切な価格だと思えば、一番安心なのがいい。心配性で、届くまでにけっこう気をもむから。

キネ旬の「世界映画人名事典・監督(外国)編」(1975)によれば、ウィリアム・キャッスルは1914年にニューヨークに生まれ、1937年に俳優としてハリウッド入りし、コロンビアで台詞監督を3年務めたのち、1943年からコロンビアで37本のB級活劇を作りました。1958年に "Macabre" を製作監督してから、ユニークな恐怖映画の監督として評価されるようになったらしいです。ポランスキーの「ローズマリーの赤ちゃん」をプロデュースしています。米アマゾンのカスタマー評によれば、今度のボックスセットには "Macabre" が入っていないのが残念らしいです。IMDbによれば、1977年に亡くなっています。では、収録作品の予習。特記以外、ウィリアム・キャッスル・プロダクションズ製作、コロンビア配給。

The Tingler (1959)
日本では劇場公開されていないようですが、「ティングラー/背すじに潜む恐怖」という邦題があるから、テレビかビデオで出たのでしょう。ビンセント・プライス演じる科学者がティングラーという人間の脊柱を上下する小さな虫を発見し、さらに、叫べばその虫が死ぬことも発見。それを利用して聾唖の妻を夫が殺そうとする場面で、キャッスルが観客に「彼女のために叫べ!」と呼びかけるらしい。怖い場面で客席が振動する装置も仕掛けたらしい。白黒(1シーンのみカラー)。80分。今日現在でIMDbでは1604人投票で6.6点。

13 Ghosts (1960)
「13ゴースト」という邦題の日本盤DVDがあります。以前にも発売されたようですが、10月7日に1400円で新たに発売されるようです。裕福な四人家族が豪邸に引っ越してくるのだけど、そこは呪われた館で、12人の幽霊が13番目の幽霊を補充しようとしていたという話らしい。キャッスルが "Illusion-O" と名づけた左右各々に赤と青のフィルターのついたメガネ(立体映画と同じようなメガネ?)を使用すると幽霊が見えるという仕掛けがあるらしい。DVDだとどうなのかわからないけど。クレジットタイトルと、このメガネが関係する場面のみカラーで、あとは白黒。85分。1524人投票で5.9点。

Homicidal (1961)
これは「第三の犯罪」という邦題で当時公開されました。双葉十三郎さんの「ぼくの採点表」では白星3つ黒星2つ(70点相当)と評価が高い。「サイコ」のパロディらしい。The Columbia Story によると、最後の5分前に「45秒の余裕をあげるから、最後まで見るか、場内を出て料金の払い戻しを受けるか決めてください」という字幕が出るらしい。賢明な観客は全額払い戻しを受けたほうがよさそう。最後の5分間は恐怖よりも笑いを起こさせるものだから。撮影は「俺たちに明日はない」などのバーネット・ガフィじゃないですか。白黒。87分。840人投票で6.4点。

Mr. Sardonicus (1961)
白黒。89分。The Columbia Story によれば、パウル・レニが「笑ふ男」(1928)で、いつも笑っているような顔になってしまった男の話を見事に描いたが、これは、しかめつらしかできなくなった男の話らしい。バーネット・ガフィ撮影。白黒。552人投票で6.6点。

Zotz! (1962)
これは製作も配給もコロンビア。ホラーというより空想的なコメディらしい。不思議な力を持つコインの話で、所有者は外国の諜報員に狙われる。白黒。85分。214人投票で6.1点。

13 Frightened Girls (1963)
The Columbia Story によれば、10代のぶりっ娘(cutesy-cutesy)が対外防諜省のメンバーに夢中になって、国際スパイ一味の悪事を暴くのを手伝うという話らしい。ただ、脚本に説得力がなく、クレジットタイトルが終わってまもなく興味を失わせるものらしい。カラー。89分。67人投票で5.3点。

The Old Dark House (1963)
IMDbによれば、製作にハマープロが加わっているようです。日本では「戦慄の殺人屋敷」という題名でテレビ放映。ジェームズ・ホエール監督の1932年の「魔の家」の再映画化。白黒(一部カラーらしい)。86分。189人投票で5.4点。

Strait-Jacket (1964)
これは「血だらけの惨劇」という邦題で日本公開されています。双葉さんの採点では白星3つ黒星1つ(65点相当)とまあまあ。ジョーン・クロフォード主演。脚本は「サイコ」のロバート・ブロック。白黒。93分。1151人投票で6.6点。

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2009年9月12日 (土)

「日活ノワール」残りの4作品

9月7日に書いた「俺は待ってるぜ」以外の4作品は、「錆びたナイフ」(1958)、「13号待避線より・その護送車を狙え」(1960)、「拳銃残酷物語」(1964)、「拳銃(コルト)は俺のパスポート」(1967)。すべて白黒でワイドスクリーン(「俺は待ってるぜ」はスタンダードサイズ)。

宍戸錠主演の二作品にシビレました。古川卓巳監督の「拳銃残酷物語」は大藪春彦原作で、宍戸錠、小高雄二、草薙幸二郎、井上昭文が現金輸送車を襲撃する話です。襲撃を依頼する側のサングラスにちょび髭のスマートな人物が雰囲気があって良かったのですが、たぶん梅野泰靖(やすきよ)だと思います。襲撃の計画が映像で示され、実際にそのとおりにことが進むのですが、運転者と助手席の警備員が外に出てこないのが誤算で、防弾ガラスだからどうにもならない。彼らを乗せたまま輸送車を大型トレーラーに積んで隠れ家に逃げるあたりが面白かった。隠れ家での攻防も迫力がありました。一味が集まって計画を立てるのが廃墟のような建物で、二年後のメルビルの「ギャング」を思わせるのですが、「ギャング」の寡黙な登場人物と違って、宍戸錠はすぐキレるし、すぐ殴る。

野村孝の「拳銃は俺のパスポート」の宍戸錠は寡黙で、サイレンサー付きのライフルで、ある組の親分を殺す最初の20分ぐらいはクールで良かった。ただし、クールなジャズっぽい音楽にときどきマカロニウエスタン調のテーマ曲が挿入されるのはいかがなものか。ま、全体がフランスのフィルムノワールとイタリアのマカロニウエスタンに日本風な味付けをしたものと思えば、雑多な音楽も許容しなければいけないとは思うけど。宍戸錠と相棒のジェリー藤尾のコンビがお似合いで、この二人が隠れるレストラン兼旅館の女将として武智豊子が出てきたり、港で働く野呂圭介(どっきりカメラ)や高木均(ムーミンパパ)がレストランの客としてやってくるあたりから、クールさが吹っ飛んで、庶民的になる。そこで働く小林千登勢が不幸な生い立ちなのも日本風に湿っぽい。しかし、最後の殺風景な埋め立て地での親分たちとの対決がバカバカしくも爽快だし、その前に錠が兵器を作るのを丁寧に描いているのに感心しました。

鈴木清順の「その護送車を狙え」は、途中で少し挿入されるストリッパーの踊りがセクシーでとろけそうでした。あまりに短くて、とろけずにすみましたが。主人公が水島道太郎なのがイカサないのですが、サングラスをかけて車をぶっ飛ばす渡辺美佐子はカッコよかった。ロープで縛った二人を乗せたガソリン車からガソリンをたらして、少し走らせあとで道にたれたガソリンに火をつけて、火が車に届くまでに二人は脱出できるかというのが最大の見せ場のようですが、火がなかなか車まで届かなくて間延びしちゃったのが残念です。悪党側の中心が東映でも悪玉だった安部徹で、私生活でも悪い奴に違いないと思えるぐらいの悪い人相で、実際に私生活でも、その筋の人から親分と呼ばれるぐらいなんだけど、実は物腰の柔らかい人だというのが、以前「徹子の部屋」に出ていたときに判明しました。1993年に亡くなられているようです。

舛田利雄の「錆びたナイフ」は、今から30年前、大学4年生だった1979年9月に新宿座のオールナイトで見ています。裕次郎特集で、「錆びたナイフ」以外の上映作品は「夕陽の丘」「赤いハンカチ」「泣かせるぜ」「二人の世界」でした。「錆びたナイフ」が4点で、ほかは3点とか2点とか付けています。たぶん、ほかのはムードアクションとか呼ばれるもので、かったるかったのでしょう。「錆びたナイフ」は、テンポが良かったし、裕次郎も若くてほっそりしていた。でも、今回見たら、それほど面白くなかった。「俺は待ってるぜ」よりも描き方のテンポは速いけど、描かれている内容はけっこうもどかしい。

北原三枝は、「俺は待ってるぜ」の影のある女性が最高でしたが、ここでは生真面目なルポライターとして登場し、台詞の内容が固くて、「俺は待ってるぜ」のように心がこもっていない。ここでも最後に二人は画面の奥に去っていくのだけど、映画の中でそんなに心の触れ合いがあったとは思えないので、とってつけたような感じ。小林旭はまだほんの若造で、この翌年から「銀座旋風児」や「ギターを持った渡り鳥」で主演になるなんて信じられないぐらい。宍戸錠は初めのほうであっという間に殺されてしまい、もしかしたら生き返って再登場するんじゃないかと期待したぐらい。

杉浦直樹とのトラックでも追っかけとその後の乱闘が唯一記憶に残っていたけど、今回もこれのみが見どころって感じでした。本当は善人そうな杉浦直樹が精いっぱい悪人を演じているのが面白いので、この二人の対決を最後に持ってくればよかったのに。実際には、杉浦の背後に黒幕がいて、最後はその黒幕との決闘だけど、年齢差がありすぎて、黒幕のほうが気の毒になるほど。しかも、黒幕が市全体を支配している広がりが感じられないので、腐敗を一掃したというスカッとした感じがなく、老人一人をやっつけたという感じしかしない。

私のウェブサイトに転載しました。

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2009年9月 7日 (月)

"Icons of Screwball Comedy" をまとめたページを作りました。

DVD "Icons of Screwball Comedy" の8作品の感想をウェブサイトにまとめました。ここに書いたのを転載しただけですが。http://homepage3.nifty.com/mylittlevillage/fstorage1930usscrewball.htm

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「俺は待ってるぜ」

アメリカのクライテリオンから発売されたDVD5枚組「日活ノワール」。ファンタシウムで購入して6700円ほどでした。その中で一番古いのが石原裕次郎と北原三枝主演の「俺は待ってるぜ」(1957)。蔵原惟繕監督のデビュー作。裕次郎は前年にデビューしたばかり。キネ旬の男優全集によれば、1957年2月に主題歌が10万枚を超す大ヒットとなり、映画は10月に公開されたらしい。じゃあ、これはヒット曲に合わせて作られた映画なのか。映画のために歌が作られたようにしか思えないんだけど。

IMDb のユーザー評には「ちょっとスローすぎる」って書いてあるけど、たしかにハリウッド映画の基準からすると、ゆっくりすぎるかもしれない。でも、最初の何十分間かの石原と北原のゆったりとしたふれあいがいい。特に、意外にも二人にとって希望のあるうれしいラストだったので、もう一度見たら、安心して二人の静かなやりとりが楽しめそう。背景が抜群で、すぐ前を汽車が通るレストラン、近くの海の防波堤など、白黒の映像がとても印象的。

なかなかギャングが登場しないんだけど、静かに進行していくうちに潜在的な暴力が充満していく感じがいい。ギャング側の二谷英明、杉浦直樹、深江章喜、榎木兵衛らが、まだギャングを演じるのに慣れていないのか、手加減を知らない素人みたいなギラギラさがあって、「仁義なき戦い」を見ているような新鮮さを感じました。下からライトが差す床のあるキャバレーなんか、メルビルのフランス映画を見るようだけど、メルビルがこの種の作品を手掛け始めるのも同じころ。もっとも、その前からフランスには「現金に手を出すな」などの暗黒映画があったけど。音楽は佐藤勝で、ジャズやスローなロックンロールっぽいのとかいろいろあるんだけど、最後は歌謡曲で締めくくる。製作水の江滝子、脚本石原慎太郎、撮影高村倉太郎。

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2009年9月 6日 (日)

ロレッタ・ヤング主演作二本

"Icons of Screwball Comedy, Vol. 2" の二枚目にはロレッタ・ヤング Loretta Young の主演作が二本収録されています。"The Doctor Takes a Wife" (1940) と "A Night to Remember" (1943) で、どちらもコロンビア作品。後者は、タイタニックを扱った同じ原題の1958年の映画があるけど(邦題「SOSタイタニック」)、全然違う映画。ロレッタ・ヤングは、1947年の「ミネソタの娘 The Farmer's Daughter」でアカデミー主演女優賞を獲得している女優さんで、目と口が大きくて私の好みじゃないし、相手役も各々レイ・ミランドとブライアン・アハーンで地味。

"The Doctor Takes a Wife" は、独身女性の勧めというようなベストセラーを書いたロレッタが医学部講師のレイと結婚したと誤解される。ロレッタはその誤解を利用して今度は結婚生活を描いたベストセラーを出すことに決め、レイは結婚のおかげで教授に昇格する。そのため、二人はロレッタのアパートに同居して疑似夫婦を演じるが、そこにレイの父親やら婚約者やら教授連中やらが訪れてきて、てんやわんや。医学部の先生の役はもともとケイリー・グラントのために書かれたらしいが、同じ年の「ヒズ・ガール・フライデー」のせいかどうか、レイ・ミランドが演じることになったらしい。ケイリー・グラントとロザリンド・ラッセルだったら、とても面白かったに違いない。監督はアレクサンダー・ホールで、この "Icons of Screwball Comedy" シリーズでは、ロザリンド・ラッセル主演の "My Sister Eileen" と "She Wouldn't Say Yes" も監督しています。ほとんどコメディばかり作っている人のようで、一番有名なのは「幽霊紐育を歩く Here Comes Mr. Jordan」(1941。

""A Night to Remember" was a film to forget" (「忘れえぬ夜」は忘れるべき映画)って The Columbia Story の最初に書いてありました。若夫婦がグリニッジビレッジのアパートの地下に引っ越すのだけど(前年の "My Sister Eileen" と同じような設定)、なんか怪しげなアパートで、殺人事件に巻き込まれます。誰が犯人かを当てるミステリーは、日本語字幕があってもよくわからない私なので、その部分はどうでもよいけれど、コメディとしてまあまあ楽しめました。撮影はジョセフ・ウォーカーで、この Icons of Screwball Comedy のほとんどを担当しているし、「幽霊紐育を歩く」と「ヒズ・ガール・フライデー」もそうだし、「或る夜の出来事」「オペラハット」「スミス都へ行く」などのキャプラ作品もそう。この手のコロンビア作品をすべて担当していたのかな。

というわけで、Icons of Screwball Comedy は大満足のDVDなのでした。

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2009年9月 1日 (火)

アイリーン・ダン主演作二本

アメリカのソニーから、たぶん全部コロンビア作品だと思うんだけど、面白いボックスセットが出始めています。この前購入した Icons of Screwball Comedy もそうだし、10月の終わりにはサミュエル・フラーの7枚組が、11月の初めにはクローデット・コルベールの6作品入りが出ます。おっと、コルベールのはソニーじゃなくて、ユニバーサルから出るようです。これらをファンタシウムで予約したのち、3年ほど前にソニーから発売された Buster Keaton 65th Anniversary Collection という2枚組も注文しました。これには、1940年ごろにキートンがコロンビアで作ったトーキーの短篇が10本ほど入っているようです。昔、児玉数夫さんがキートンの本を出して、トーキー以降の作品も詳しかったのですが、当時20年代のキートンしか興味がなかったので、あまり面白かった記憶がないんだけど、なんか古本を探してみたくなりました。

で、今日は2枚組 Icons of Screwball Comedy, Vol. 2 の1枚目のDVDに入っているアイリーン・ダンの二本について。原題は "Theodra Goes Wild" と "Together Again"。1936年と1944年の作品。各々「花嫁凱旋」と「再会」という邦題があるので、ちゃんと日本で劇場公開されたのでしょう。なんと、「花嫁凱旋」は、アイリーン・ダンとケイリー・グラントによるスクリューボール・コメディの大傑作「新婚道中記 The Awful Truth」の一年前の作品じゃありませんか。アイリーン・ダンはもう十分に面白いじゃありませんか。田舎の読書クラブのおばさんたちは、今から考えるとどおってことない性描写が含まれたベストセラー小説におかんむり。ところがそれを書いたのが読書クラブに所属しているアイリーン・ダンで、品良くごまかしているが、そのうち我慢しきれなくなり、自分の正体を明かし、田舎町で派手派手に凱旋パレードをするというようなお話。アイリーン・ダンって、顔が少々長いからか高畑淳子に似ていると思ったし、表面的には上品ぶっているのに、内面では男を求めているって感じも似ている。酔っぱらって羽目を外してしまうシーンがあるけど、それも似ている気がする。相手役はメルビン・ダグラス。私は年取ってからの生真面目な役柄しか印象になかったから、アイリーン・ダンやジーン・アーサーやガルボの相手役として軽妙洒脱な都会派のプレイボーイ役を演じているのを見ると、なんか変な感じ。監督はリチャード・ボレスラフスキーというポーランド出身の人。撮影のジョセフ・ウォーカーや音楽監督のモリス・ストロフは、この前見たジーン・アーサーやロザリンド・ラッセルの作品でもそうだったので、この頃のコロンビアのこの手の作品ではおなじみの人たちのようだし、たぶんほかのスタッフも同じ人たちなんだろうから、ある程度の面白さは保証されているようなもの。

アイリーン・ダンとシャルル・ボワイエは以前にも「邂逅 Love Affair」(RKO, 1939) や「明日来りなば When Tomorrow Comes」(ユニバーサル、1939)で共演しているので、まさに「再会 Together Again」。ただ、シャルル・ボワイエはこの手のコメディには重すぎる気がする。全体的に「花嫁凱旋」や「新婚道中記」よりもおとなしめのコメディで、アイリーン・ダンも、少々おばさんになって、上品な美しさが出てきました。夫の市長が数年前に亡くなったので自ら市長になった未亡人を演じているのだけど、やっぱり内面では男を求めているという、彼女にとってうってつけの役柄。夫の銅像が公園に建てられていて、その銅像に雷が落ちて、首が落ちるのが傑作。そこで、アイリーン・ダンがニューヨークに出向いて、彫刻家のシャルル・ボワイエに銅像を作りなおしてくれるよう依頼しに行きます。ボワイエが彼女を食事に連れて行ったクラブでは違法なヌードショーをやっていて、彼女の上着が汚れたのでレディーズルームで上着を脱いで黒人女性の従業員に汚れを落としてもらっているときに警察が乗り込んできて、ヌードダンサーだと間違われた彼女が連行されていくのが傑作。これも撮影がジョセフ・ウォーカーで、音楽監督がモリス・ストロフ(作曲は別の人)。プロデューサーと脚本家のバージニア・バン・アップ Virginia Van Upp は、ロザリンド・ラッセルの "She Wouldn't Say Yes" でもプロデューサーと脚本家だったので、どういう人なんだろうと調べたら、コロンビアの大将ハリー・コーンの息子と結婚したのでプロデューサーの地位を得たみたいなことがIMDbに書いてありました。「ギルダ」もプロデュースしたのか。

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2009年8月30日 (日)

ロザリンド・ラッセル主演作2本

DVD2枚組 "Icons of Screwball Comedy, Vol. 1" の1枚目にはジーン・アーサー主演作が2本収められていましたが、2枚目にはロザリンド・ラッセル主演の "My Sister Eileen" (1942) と "She Wouldn't Say Yes" (1945) が収められています。どちらも監督はアレクサンダー・ホールという人で、コロンビア製作配給。

1940年の「ヒズ・ガール・フライデー」が決定的だったのか、美人だけど、大柄で男まさりで、色気をあまり感じない。スクリューボールコメディは、ドタバタしたロマンティックコメディだと私は思っているのだけど、「マイ・シスター・アイリーン」は、「ヒズ・ガール・フライデー」同様、ロマンティック度の低い、ほぼ完全なドタバタコメディ。オハイオからニューヨークに物書きと女優を各々目指してやってきた姉妹が、グリニッジビレッジの変な地下室に住む羽目になり、そこに界隈の変な人物たちが入れ替わり立ち替わり乱入してくるというお話。少し高い所にある窓のすぐ外は街路で、猫や散水車の水が入ってきたり、酔っ払い中年二人がのぞき込んで、寝ようとしている姉妹をからかったりする。一応鉄格子はあるけど、実に過ごしにくい部屋。グリニッジビレッジという土地柄とエピソード集なのが現代的だけど、部屋がいかにもセットだし、この部屋だけで成り立つ作品なので、もともと舞台劇だろうと思っていたら、やっぱり、ニューヨーカー誌のエッセイを元にした舞台劇でした。シュールな域にまでは達していないけど、相当楽しめるドタバタ映画です。

"She Wouldn't Say Yes" は、ラッセルが精神分析医で、自分の感情をコントロールすることを重視しています。彼女の相手は人気のある四コマ漫画家で、漫画のニキシーというイタズラ天使が耳元で口笛を吹くと人間の抑圧が解ける。たとえば、中年男性がメリーゴーラウンドに乗りたくてしょうがないんだけど、大人だから我慢していたら、ニキシーがやってきて口笛を吹くので、男性はメリーゴーラウンドにのってご満悦。だから、当然、漫画家がお堅いラッセルを柔らかくして結ばれるという展開になります。ただ、ラッセルは最初から堅物には見えないし、恋愛が先行しても特に色っぽくなるわけではないので、女性が次第に変化していく様子は楽しめない。一番いけないのは、相手役の男性がリー・ボウマンという全然知らない俳優で、魅力も感じないこと。ケイリー・グラントならもっと面白くなっただろうに。

Vol. 2 は、アイリーン・ダン主演作二本とロレッタ・ヤング主演作二本。お楽しみに。同じソニーからは、これから、サミュエル・フラー、クローデット・コルベール、フィルム・ノワールなどのコレクションが出るようです。

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2009年8月27日 (木)

If You Could Only Cook

最近よく楽天を利用しているので、気がつくといつの間にか最上位のプラチナ会員になっていて、いったいどんないいことがあるのだろうとワクワクだし、これからも楽天を利用してやろうという気になってきます。近所のスーパーやドラッグストアやディスカウントショップでもポイントをもらうのが好きなポイント野郎になってしまいました。で、最近楽天で購入したのがLLサイズの歯間ブラシで、近所のドラッグストアなどではLサイズまでしか売っていないので、インターネットで探したのでした。しかし、このところマスクの注文が殺到していて忙しいらしく、なかなか発送されません。なぜ、LLサイズを購入したかというと、たぶん歯槽膿漏を長年ほったらかしにしていたせいだと思うのですが、歯と歯の間がスカスカになったのです。40年間も歯医者に行ったことがなかったので、昨年の10月から今年の6月ぐらいまで毎週通う羽目になったのですが、7月、8月は1ヵ月に一度になり、今度からは2ヵ月に一度になりました。毎週通っていたころに、虫歯を抜かれたり、いろんなことをされましたが、思っていたほど痛くなかったし、小ざっぱりした若い歯科衛生士さんたちがやさしいので、行こうかどうしようか迷っている方がいらしたら行ってみることをお勧めしますし、歯の磨き方を丁寧に指導してもらえるので、どこも悪くない方も数ヵ月に一度通うことをお勧めします(長年歯医者に行ったことがなかった私が言うのも僭越ですが)。自分で歯を見るときに小さい手鏡を渡してくれるのですが、「その手鏡はどこで売っているのですか」と衛生士さんにたずねたら、「ヒャッキンでも売ってます」という答えが返ってきたので、一瞬ポカンでしたが、すぐに百円ショップだと気づきました。通常、「百円ショップ」とは言うけど、「百円均一ショップ」とは言わないので、「キン」は「金」のことだと思っていたら、グーグルで調べてやっと「キン」の正体がわかった次第です。

今日は、この前届いたDVD "Icons of Screwball Comedy" について書こうと思ったんだけど、前置きが長くなって、残り時間が少なくなりました。各DVDに2作品ずつ入った2枚組が2セット出ているので、計8作品。で、Vol.1 の最初のDVDに入っているのがジーン・アーサー主演の二作品。ジーン・アーサーって、キャプラ作品でゲイリー・クーパーやジェームズ・スチュアートの相手役ってイメージしかなかったのだけど、これらを見て、すてきなコメディエンヌだなあって思いました。"If You Could Only Cook" (1935) と "Too Many Husbands" (1940)で、もしかしたら日本公開されていて邦題もあるかもしれないけど、それは後日調べることにします。後者は、死んだと思っていた夫のフレッド・マクマレーが一年後に帰ってきて、その間、マクマレーの親友メルビン・ダグラスと結婚してしまっていて、てんやわんやというお話。前半は面白いけど、後半だれます。お金持ちたちが好きにやってらあって感じ。当初混乱していたジーン・アーサーは自分のために二人の男が争うのに興奮します。女性ってそういうもの?もっと面白くて好きになったのが、"If You Could Only Cook"。著名な自動車デザイナーのハーバート・マーシャルが会議で争って、むしゃくしゃして公園のベンチに座っていると、となりで仕事探しのために新聞を見ていたジーン・アーサーに仲間と間違われて、夫婦のふりをして執事と料理人として雇われるというお話。雇った側がギャングの親分で、その手下がライオネル・スタンダー。例の顔と声で強烈なアクセントをつけてくれています。で、この悪漢たちが気のいい連中だというのはよくあるパターンですが、やっぱり見てて面白いし、ジーン・アーサーとハーバート・マーシャルも安定した演技なので、心地よく見ることができます。監督はウィリアム・サイターなんですが、コロンビアは外国に売り込むときにキャプラ作品としたために、キャプラが怒ったんだけど、そのおかげでジーン・アーサーを知ることになり、「オペラハット」「我が家の楽園」「スミス都に行く」に彼女が出る結果となったのでした。

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