キートンのサイレント長編集 (8): 「キートンのラスト・ラウンド」
いくらなんでも活動しなさすぎのあややは見限って、別の歌のうまいアイドルを物色中の今日この頃でしたが、四年ほど前から体調がすぐれなかったそうで、ごめんなさい。同じ病気で苦しまれていた平松愛理さんの曲を歌っているのは、単に曲が好きだからというだけの理由でしょうか。これだけだと寂しいので、口パクくそくらえの「愛は勝つ」の熱唱はどうだ(声が聞こえないのに口パクしているたいせいが笑えますが)。
さて、キートン・プロダクションズでのキートンの長編7作目は「キートンのラスト・ラウンド」。原題は "Battling Butler" で、アメリカでは1926年8月ごろ公開。日本での70年代のリバイバル・シリーズは途中で打ち切られて、公開されませんでした。「キートンのラスト・ラウンド」はその時の邦題。1927年に日本で公開されたときの邦題は「拳闘屋キートン」。1985年にお茶の水のアテネフランセで見たことがあって、その時のタイトルも「拳闘屋キートン」でした。
大規模な仕掛けがないのでキートンの長編の中で一番地味だろうと思います。でも、最初からそう思ってみると悪くないし、話をちゃんと語っています。舞台劇が原作だということもあるのだろうけど。キートンが単独で監督しているのですが、最初のシーンの画面の奥行きはオーソン・ウェルズも真青です。
「海底王キートン」同様、甘やかされて育って何もできない金持ちのボンボンが主人公で、キートンが一番ピッタリくる役柄だと私は思います。男らしくなってほしい父親は、キートンに山暮らしを経験させますが、そこでも従者に身の回りのことをやらせて、都会での生活とあまり変わらない。「セブン・チャンス」で弁護士を演じた小男のおじさん、スニッツ・エドワーズがここでも従者として好演しています。
山で暮らすサリー・オニールを見染めて、二人は結婚します。サリー・オニールは親しみやすい感じだし、恋愛についてウブなキートンとシビル・シーリーを初めとする素朴な女性とのラブシーンは初々しくて、いつも胸キュンとなります。自分を強く見せようとするキートンが成りすます同姓同名(アルフレッド・バトラー)のボクサーの妻マリー・オブライエンもけっこういい感じで、互いを知らないサリーと彼女が屋外の同じテーブルに座っていると、ウェイターが「バトラー氏からです」とチョコーレとの入ったお盆をテーブルに置いたので、自分のためのものを何で相手が食べているのだろうと二人が心理的に火花を散らすあたりも大人のコメディとして上出来。もっとも、これは原作の舞台劇にもあるのかもしれませんが。
- キートンの恋愛三代記 Three Ages (1923) ★★★★★
- 荒武者キートン Our Hospitality (1923) ★★★★★
- キートンの探偵学入門 Sherlock Jr. (1924) ★★★★★
- 海底王キートン The Navigator (1924) ★★★★★
- セブン・チャンス Seven Chances (1925) ★★★★★
- キートンのゴー・ウェスト! Go West (1925) ★★
- キートンのラスト・ラウンド Battling Butler (1926) ★★★
最後にあややの復活を願って、もう一曲紹介させてください。ミキティとのデュオGAMの "Melodies" を一人で歌っているもの。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)








最近のコメント