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2009年7月30日 (木)

映画だけしか頭になかった:モンクのソロではじまった「危険な関係」

今はなき雑誌「映画の友」1961年5月号に掲載されたもの。当初この作品は輸出禁止になったらしい。輸入禁止ではなく、輸出禁止だから、フランス側が「こんなふしだらな映画を外国に見せるのはフランスの股間(もとい沽券)にかかわる」と思ったらしい。で、めでたく2年ぐらいしてから日本でも見れるようになったので、植草さんはうれしくおもったし、タイトルのバックでセロニアス・モンクのピアノが聴こえてくるのでので、思わず緊張する。

原作は1782年に出版されたラクロの書簡体小説で、昔恋人同士だった二人の手紙のやりとりによって構成されています。女性ジュリエットが男性バルモンに貞淑な女性を落とすようそそのかして、バルモンがジュリエットにその報告をするのです。映画ではバルモンとジュリエットは夫婦で、互いに貞淑な異性を落とすことを報告し合うことで、夫婦間の愛を維持しているようです。バルモンはジェラール・フィリップ、ジュリエットはジャンヌ・モロー。1959年に肝臓がんで36歳の若さで亡くなったフィリップは、ブニュエルの「熱狂はエルパオに達す」が遺作となったようですが、「危険な関係」はその前の作品。

植草さんは、バルモンが居間でモンクの「ブリリアント・コーナーズ」のレコードを取り出す、と書いているのですが、「そんなシーンあったっけ?」とDVDで確認してみたら、私が持っている最近のCDのジャケット写真と違っているようです。最初のほうはセロニアス・モンクの曲が多く、後半になると激しいジャズになってきて、どうもアート・ブレーキーとジャズ・メッセンジャーズになるらしい。聞き覚えのあるテーマ曲「危険な関係のブルース」(原題 "No Problem")は彼らの演奏らしいが、今ではデューク・ジョーダンの曲として知られています。どうもデューク・ジョーダンは当時ジャズ・メッセンジャーズのメンバーだったらしいし、当初は彼の作曲だということが知られていなかったらしい。このあたり、はっきり調べる余裕がないので、興味がある人は自分で調べてみてください。少なくとも、植草さんの文章の中にデューク・ジョーダンという名前は見当たらない。

植草さんは、スキー場を舞台にした場面でのマルセル・グリニョンによる雪景色の白黒撮影が良いと書いています。実際そのとおりなんですが、私が最近購入した日本盤DVDはあまり画質が良くない。しかも、日本語字幕を消すことができない。

原作は手紙のやりとりですが、映画ではジェラール・フィリップがジャンヌ・モローに出した手紙の文書をナレーションで語っています。このナラタージュ手法を植草さんはほめています。私が面白いと思ったのは貞淑な人妻マリアンヌを落とすくだりで、フィリップがあの手この手で口説いている途中、「ここで泣こうと思ったが涙が出なかった」というナレーションと、その時のフィリップの様子や表情に、ユーモアさえ感じました。

こんな不道徳な場面でも生真面目な私が余裕をもって見ることができるのは、マリアンヌ演じるアネット・バディムにしても、もう一人フィリップの犠牲になるジャンヌ・バレリーにしても、あまり純情な女性に見えないからで、もし彼女たちが純情で清楚な女性であれば、私は怒り心頭に達して、血圧が50は上がっていたことでしょう。それに、年をとれば年相応の人に魅力を感じるようで、ジャンヌ・バレリーの母親のシモール・ルナンに惹かれました。1911年生まれで、このとき48ぐらいだから、私にぴったりだ。彼女は、アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの「犯罪河岸」に出てるのだけど、悪女シュジ・ドレールじゃなくて、女写真師のほうです。あと、「リオの男」のアマゾン川沿いの酒場で熟女歌手ローラとして登場します。

付け加えると、ボリス・ビアンが出ていて、「アデンアラビア」の最初の言葉「僕は20歳だった。それが人の一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」から受ける若くて反抗的なイメージからすると、やけにおっさん臭くて、おとなしいなあと思っていたら、「アデンアラビア」はボリス・ビアンではなくポール・ニザンでした。どこで混乱しちゃったんだろう。心臓が悪いらしく、映画から受ける印象が弱々しくて、結局彼も1959年に39歳で亡くなったそうです。

もう一つ付け加えると、ラストのジャンヌ・モローに対する罰は、トリュフォーが「突然炎のごとく」を作るときに意識していたのでしょうか。あまり詳しく書きませんが、原作では天然痘で顔が醜くなるらしく、「原作を読んだことのある人は、ジャンヌ・モローに種痘の跡があるのにビックリするかもしれない」ってポーリン・ケイルは書いています。

今回は、あまり植草さんの文章とは関係なくなってしまいましたが、植草さんのはストーリーを細かく書いている部分が多いので、要約しにくい。

少し前に「素直な悪女」の日本盤が千円台で発売され、来週「恋人たち」が千円台で発売されるので、まとめて注文中。

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2009年7月29日 (水)

ノーマン・マクラレン作品 (25)

Le Merle (The Blackbird) 1958
約4分30秒、カラー、サウンド
助手: イブリン・ランバート
音楽: フランス系カナダのナンセンスソングをモーリス・ブラックバーンがアレンジしたもの。

カナダ国立映画制作庁で見ることができます。童謡のような歌に映像を付けたもの。最初に出てくる英語の解説によれば、「くちばしが一つなくなって、二つなくなって、いったいどうやって歌えるんだろう」という歌詞のようです。童謡とか民謡を題材にしたシリーズを映画制作庁が作っていて、ときおりマクラレンも参加するんでしょうね。でも、どういう機会に上映されていたのだろう?一般の映画館で本編の前に見ることができたとか、テレビで放映されたとか。マクラレンは10年前ぐらいには "Alouette" "C'est l'aviron" "La haut sur ces montagnes" "La poulette grise" などの民謡に映像を付けたものをよく作っていましたが、久しぶりにそんな作品を作ったようです。ただ、以前のよりも抽象的な感じがします。鳥が丸や三角や線でできているからで、トリオの歌い方が古臭いのとは対照的に、映像はモダンに見えます。まるでコンピューターで作られているかのようです。しかし、これは白い紙を切り取ったのものを少しずつ動かしているようで、考えただけで気が遠くなるような根気だ。

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2009年7月28日 (火)

山田辰夫さん死去

本日、日経新聞を眺めていたら、山田辰夫さんが亡くなったという記事が。26日に胃がんで亡くなられたそうです。53歳。私より一つ上。記事には、滝田洋二郎監督と高校の同級生で、出演作品は「おくりびと」しか書いていないけれど、私は、何かにブッ切れてて暴力を働いているイメージをこの人に持っています。いったいあれは何の作品だったのだろうと調べてみたら、石井聰亙監督の「狂い咲きサンダーロード」(1980)に主演していて、これが映画デビュー作でした。

彼のフィルモグラフィーを眺めても、私が見た映画はほとんどないんだけど、フジテレビ系列で昼1時30分からやっていた「はるちゃん」シリーズをよく見ていたことがあって(中原果南が好きだったのかな?)、旅館の仲居のはるちゃんに厳しい支配人だけれど、本当は良い人を演じていました。私には「狂い咲きサンダーロード」のイメージしかないので、こんな番組で、こんな役をやってるのかって、少しさみしい気がしました。小柄だけど、全体の感じにも、口調にも鋭さがあって、健さんのヤクザ映画や文太の「仁義なき戦い」の時代に生きていれば、悪役軍団の一人として、もっと個性が発揮できたかなって思います。ご冥福をお祈りいたします。

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2009年7月26日 (日)

ノーマン・マクラレン作品 (24)

A Chairy Tale 1957
約10分、白黒、サウンド、35ミリ
助監督: クロード・ジュトラ Claude Jutra
助手: イブリン・ランバート Evelyn Lambart
音楽: ラビ・シャンカール(シタール)、チャトゥル・ラル(タブラ)、Modu Mullick(タンプーラ)
音楽助手: モーリス・ブラックバーン

これは、以前にも言及したことがある作品です。これは本家本元のNFBでちゃんとしたのを見ることができます。見てわかるように、読書をしている男性が椅子に座ろうとすると、椅子が逃げてしまうというドタバタコメディです。メッセージのない単なるドタバタかと言えば、そうでもない。最後に男性が椅子の恰好をして椅子を自分の上に座らせてやると、椅子も男性を座らせてくれ、「このあと両者は幸せに暮らしました」というような字幕が出て、終わり。たぶん、相手の立場になって考えれば両者の関係はうまくいく、といったようなことが言いたいんじゃないかと思います。だから、隣人のことを考えない挙句に両者ともが不幸な結果になってしまう "Neighbours" と通じるところがあります。

しかし、この作品の最大の特徴はラビ・シャンカールの音楽だと思います。もしスラップスティックにお似合いのピアノによるラグタイムだったら、この作品の印象度がかなり薄れたと思います。シャンカールは、ジョージ・ハリソンがインド音楽に興味を持った60年代後半から国際的に有名になった人だとばかり思ったら、50年代後期にはもう西欧で活躍してたのですね。作品を見ればわかるように、シャンカールの既存のレコードを使っているのではなく、ぴったりと映像に合わせて軽妙に伴奏しています。

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2009年7月25日 (土)

1976年7月第3週に見た映画 (その2)

7月23日(金) わが緑の大地 (池袋文芸坐) 4点
7月25日(日) バーバレラ (テレビ) 3点

「わが緑の大地」は、ポール・ニューマン監督主演の1970年のドラマ。原題は "Sometimes a Great Notion"で、「時には偉大な考え」という仮題を雑誌スクリーンで見たおぼえがあります。でも、のちに原題が "Never Give an Inch" に変わったようです。たしか別の人が監督をしていたんだけど、なにかの都合で、ポール・ニューマン自身が監督するようになったということも読んだおぼえがあります。IMDb によれば、もとの監督はリチャード・A・コーラで、交代の理由は書いていません。このとき、すでに1968年の「レーチェル・レーチェル」でポール・ニューマンは監督としての評価を得ていました。オレゴンの森林地帯で伐採業を営む一家のお話。組合員たちがストライキをしている最中、自分たちの仕事を頑固に続ける一家がまわりと対立する。原作は、のちに「カッコーの巣の上で」を書くケン・ケーシー。音楽ヘンリー・マンシーニ、撮影リチャード・ムーア。ヘンリー・フォンダ、リー・レミック、マイケル・サラザン、リチャード・ジャッケル共演。リチャード・ジャッケルはこの映画でアカデミー助演男優部門にノミネートされました。彼が湖で材木にはさまれて身動きがとれず、ニューマンが助けようとしてもどうにもならず、どんどん水位が上がっていって、ゆっくり溺死していくという場面が非常に印象に残っています。というより、その場面しかおぼえていません。

「バーバレラ」(1968)は、すでに水曜ロードショーで見たことがあったと思ったのですが、あれは同じロジェ・バディム監督、ジェーン・フォンダ主演の「獲物の分け前」(1966)だったのかもしれない。この頃、二人は結婚していました。あまり興味ないからパス。

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2009年7月22日 (水)

ノーマン・マクラレン作品 (23)

Rythmetic 1956
約8分30秒、カラー、サウンド
助手: イブリン・ランバート Evelyn Lambart
効果音: ノーマン・マクラレン

カナダ国立映画制作庁にも紹介しているページがありますが、注文しないと見ることができないんですかね。ご心配なく。YouTube にアップロードされています

見ればわかるように、青の背景に白い数字が出現して動くというもので、例によってマクラレンがフィルムのサウンドトラックに直接手書きしたか刻んだかした音が入ってますが、私にはあまり面白くなかった。数式が簡単すぎるし、テンポが遅いしで。ただ、もちろん、これはコンピューターで作成したものではなく、切り抜いた紙を少しずつ動かしながら撮影したものだろうから、その労力には敬服します。それを考慮に入れても、やはり私には面白くない。

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2009年7月21日 (火)

1976年7月第3週に見た映画 (その1)

7月19日(月) 孤独な関係 (TVK) 3点
7月21日(水) 赤い鳥逃げた? (新宿座) 4点

「孤独な関係」は、マーク・ロブソン監督、ポール・ニューマン主演の1960年の二十世紀フォックス配給映画。出世街道を歩む青年が本当の人生を知るというお話。有力者の娘ジョアン・ウッドワードと結婚するが、まともな女性アイナ・バリンと出会い、真実の愛にも目覚める。だからか、ウッドワードよりもアイナ・バリンのほうをよくおぼえています。ただ、バリンは私のタイプじゃないし、この頃の私は大人の恋愛が苦手だった(今もだけど)。双葉さんの採点では白星3個(60点相当)。ニューマンはウッドワードと1958年に結婚していますが、いったい何本共演しているんだろう。この前に「長く暑い夜」と "Rally 'Round the Flag, Boys!" があって、このあとには「パリの旅愁」「パリが恋するとき」「レーサー」があります。ほかにもあるのかな。「レーチェル・レーチェル」といったニューマン監督、ウッドワード主演の作品も何本かあるようだけど。「孤独の関係」の原作はジョン・オハラ、脚色アーネスト・リーマン、音楽エルマー・バーンスタイン、撮影レオ・トバー。カラー、ワイド、2時間20分の作品を、白黒テレビで、左右がちょん切られ、時間も1時間ほど切られ、映りの悪いテレビ神奈川で見たんだから、正統を求める人たちからは非難されそうだけど、そういう代物を見たという私の経験は事実。しかし、作品自体に興味がないので、本当の「孤独な関係」を見たかどうかを掘り下げる気は全然なし。

「赤い鳥逃げた?」は1973年の東宝映画で、藤田敏八監督、原田芳雄、大門正明、桃井かおり主演。脚本はジェームズ三木だったのか。原田と大門のコンビは「傷だらけの天使」のショーケンと水谷豊に似ていたけれど、大門正明は水谷豊ほど魅力的じゃなかった。「傷だらけの天使」は1974年10月から翌年3月までの放映だったので、それよりも前の作品。桃井かおりはどんなんだったか思い出せない。安田南が主題歌を歌っていました。私がこの映画を見た1976年ごろ、彼女はFM東京の深夜に片岡義男と「きまぐれ飛行船」という番組をやっていました。中森明菜にも同名の曲があるようだけど、別の曲らしい。このあたりは YouTube で聴いてください。長谷川和彦が助監督だったようだけど、「青春の殺人者」と「太陽を盗んだ男」で華々しく監督業に乗り出した彼のその後の作品を調べたら、なんと監督作はこの二本しかないんですね。

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2009年7月20日 (月)

本 "Masculine Singular: French New Wave Cinema"

「男性単数」という題名のヌーベルバーグに関する本。作者はジュヌビエーブ・セリエ Genevieve Sellier という女性で、英語の訳者もクリスティン・ロス Kristin Ross という女性です。女性の立場から、カイエ・デュ・シネマ派の男性たちの独断的な作家主義とか女性の描き方とかを批判しているのかと思ったら、思ったほどカイエ・デュ・シネマ派には焦点を当てていませんでした。トリュフォー、ゴダール、シャブロルの初期作品について書かれてはいるけど、あまり印象に残りませんでした。

女性の解放 (emancipation) というのがキーワードのようで、中心となる女優はジャンヌ・モローとブリジット・バルドー。1956年から1962年までの重要な作品における女性の描き方を論じているので、トリュフォーとゴダールがそれぞれの女優を使った「突然炎のごとく」(1962)と「軽蔑」(1963)はかなりあとになってからということになります。むしろ、ロジェ・バディムやルイ・マルによる彼女たち主演作のほうに興味が向きます。バディム監督、バルドー主演の「素直な悪女」はまだ見たことないし、マル監督、モロー主演の「恋人たち」も若いころ見たきりなので、あらためて見てみたい。アラン・レネやアニュエル・バルダといった、いわゆる左岸派のこの頃の映画も論じており、当時の映画雑誌の批評がどんなだったかを紹介しているのも、本国の人が書いた本ならでは。

モロー、バルドー以外では、エマニュエル・リバを論じている個所が印象的で、もちろん「24時間の情事」が中心なんだけど、メルビルの「神父(司祭)レオン・モラン」やジョルジュ・フランジュの「テレーズ・デケイルー」にも言及しています。前者は米版VHSで持っているけど、後者は見ることができるのでしょうか。

訳者のクリスティン・ロスには "Fast Cars, Clean Bodies: Decolonization and the Reordering of French Culture" という面白そうな本があるのですが、参考図書の中から私が米アマゾンで安い古本を注文したのは Lynn A. Higgins の "New Novel, New Wave, New Politics: Fiction and the Representation of History in Postwar France" というのと、Jefferson T. Kline の "Screening the Text: Intertextuality in New Wave French Cinema" という本でした。後者は男性のようですが、女性の視点から男性中心の映画や社会を論じているのを読むのも面白いんじゃないかと思うようになりました。 ボーボワールの「第二の性」というのも読みたくなりました。

1956年から1962年までのヌーベルバーグ作品でチケット販売数が10万枚を超えたもののリストが巻末にあったので、それを掲載しておきます。

  • 素直な悪女 (1956年12月) 173,000枚
  • 死刑台のエレベーター (1957年2月) 120,200枚
  • 恋人たち (1958年11月) 451,470枚
  • いとこ同志 (1959年3月) 258,550枚
  • 今晩おひま? (1959年5月) 150,400枚
  • 大人は判ってくれない (1959年6月) 261,000枚
  • 24時間の情事 (1959年6月) 160,360枚
  • 危険な関係 (1959年9月) 640,000枚
  • 二重の鍵 (1959年12月) 239,200枚
  • 勝手にしやがれ (1960年3月) 259,000枚
  • 雨のしのび逢い (1960年5月) 140,930枚
  • 地下鉄のザジ (1960年10月) 126,540枚
  • 昨年マリエンバードで (1961年9月) 141,970枚
  • 突然炎のごとく (1962年1月) 210,065枚
  • 私生活 (1962年1月) 241,720枚
  • 5時から7時までのクレオ (1962年4月) 111,148枚
  • 女と男のいる舗道 (1962年9月) 148,010枚

「今晩おひま?」は、ジャン・ピエール・モッキー監督、ジャック・シェリエ、シャルル・アズナブール、アヌーク・エイメ出演。

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2009年7月18日 (土)

ノーマン・マクラレン作品 (22)

Blinkity Blank 1955
約5分、カラー、サウンド
音楽:モーリス・ブラックバーン
効果音: マクラレン

"Neighbours" の次に、同じ1952年の "Two Bagatelles" という2分ほどの実写アニメがあって、人物をコマ撮りしてユーモラスな動きを作り出していますが、"Neighbours" と出演者が同じで、背景も似ているので、"Neighbours" の習作って感じで、"Neighbours" のあとで見ると、物足らない。

"Blinkity Blank" には「線と色の即興詩」という邦題があります。トリュフォーの批評集 "Les Films de Ma Vie" の一部を収録した「わが人生わが映画」(たざわ書房、1979、山田宏一、蓮實重彦訳)では「アウトサイダーたち」という章の中で、ベルイマン、ブニュエル、フェリーニ、ロッセリーニ、オーソン・ウェルズ、ハンフリー・ボガート、ジェームズ・ディーンに関するエッセイとともに、マクラレンのこの作品に関するエッセイも収められています。訳文で500字ほどの短いエッセイです。1957年の文章と書かれているのですが、"Francois Truffaut: A Guide to References and Resources" という本によると、初出は1954年10月のアール誌に掲載されたもののようです。トゥール短篇映画祭で上映された作品のうち4本を論じたものですが、そのうちの一本です。だから短いんだ。トリュフォーは、「<男性的な要素>と<女性的な要素>の出会いの結合によってエロチックなバレエを構成するいくつかのデッサンと抽象的な模様をフィルムに直接描いた」と書いています。今までここに書いてきたように、男女の結合を連想させる作品は、かなり初期からありました。さらにトリュフォーは、「ジャン・ジロドゥーのすべての幻想と、ヒッチコックの完璧な技巧と、ジャン・コクトーの奔放な想像力がたっぷり詰めこまれている」とまで述べています。例によって変な電子音のようなものが聞こえてきますが、これはマクラレンがフィルムのサウンドトラックに直接書き込んだもののようです。ここではブラックバーンの音楽とコラボしてます。なにはともあれ、百聞は一見に如かずです

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2009年7月17日 (金)

1976年7月第2週に見た映画 (その3)

7月16日(金) 関東破門状 (東京12) 3点
7月16日(金) 続・猿の惑星 (フジ) 4点

「関東破門状」は、小沢茂弘監督、鶴田浩二、藤純子主演の1965年の作品と記録しています。関東シリーズは渡哲也主演の日活映画が3本あるようですが(「関東流れ者」「関東幹部会」「関東破門状」)、これらは1971年の作品で、その数年前に東映でも関東シリーズ5本あって、すべて小沢茂弘監督、鶴田浩二主演です(「関東流れ者」「関東やくざ者」「関東破門状」「関東果し状」「関東やくざ嵐」)。「関東流れ者」と「関東破門状」という題名の作品が両者ともにあります。小沢茂弘という監督をキネ旬の日本映画監督全集で調べたら、1954年から、この全集が出た1976年まで、東映で年5,6本ペース、120本以上も作っています。その後もテレビドラマで活躍したんじゃないかとウィキペディアを調べたら、「小沢天皇」と陰口をたたかれるぐらい傲慢な態度だったらしく、東映の社長となった岡田茂に嫌われて、1976年以降は映画のみならずテレビドラマも作らせてもらえなくなったらしい。鶴田浩二は、この1965年、13本映画に出ています。列挙してみると、「顔役」(石井輝男)、「日本侠客伝・浪花篇」(マキノ雅弘)、「いれずみ判官」(沢島忠)、「関東流れ者」(小沢茂弘)、「暗黒街仁義」(渡辺祐介)、「関東やくざ者」(小沢茂弘)、「日本侠客伝・関東篇」(マキノ雅弘)、「次郎長三国志・甲州路殴り込み」(マキノ雅弘)、「明治侠客伝・三代目襲名」(加藤泰)、「任侠男一匹」(マキノ雅弘)、「関東破門状」(小沢茂弘)、「無頼漢仁義」(渡辺祐介)、「関東果し状」小沢茂弘)。ふぅー。鶴田浩二の主演作品じゃなくて、健さん主演作品への客演も何本かあるようです。カラー、ワイド作品を白黒テレビ、画面の両脇カットで見ているし、その後昭和館でやくざ映画を何本も見ているので、どんな作品だったかさっぱり。加藤泰の「明治侠客伝・三代目襲名」ぐらい有名なら、ともかく。

1970年の二作目で、一作目に出ていたチャールトン・ヘストンも出ていたような気がしますが、主演はジェームズ・フランシスカス。前作に続いてキム・ハンターが猿役で出ていますが、一作目で猿のコーネリアスだったロディ・マクドウォールは一作目のフィルムが使われている箇所に出ているだけで、特に二作目のための撮影には参加していないみたい。別の人がコーネリアスを演じています。でも、翌年の三作目になると、マクドウォールがコーネリアス役に復帰して、キム・ハンター演じるジラとともに現代のアメリカにやってきます。その後何本作られたか興味ないです。「続・猿の惑星」の原題は "Beneath the Planet of the Apes" で、監督テッド・ポスト、音楽レナード・ローゼンマン、撮影ミルトン・クラスナー。二十世紀フォックス製作配給。

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2009年7月16日 (木)

1976年7月第2週に見た映画 (その2)

7月15日(木) テアトル新宿
 アマルコルド 5点
 ハリーとトント 4点

キネ旬ベストワンの二本立て。フェリーニの「アマルコルド」は1974年の1位で、その年の2位と3位はベルイマンの「叫びとささやき」とトリュフォーの「アメリカの夜」。「アマルコルド」は1年前の1975年7月に名画座ミラノで見ていて、これが二度目。「アマルコルド」も「叫びとささやき」も「アメリカの夜」も当時は夢中で見ていましたが、今考えると、60年代には実験的だった彼らも、この頃にはずいぶん口当たりが良くなったものだなあと思う。家でDVDを繰り返し見ることができる時代になると、むしろ、難解なものに挑戦してみたくなる。まだ見てないんだけど、この前アラン・レネの「昨年マリエンバードで」が届いたし、もうすぐ「ミュリエル」が届く予定で、今はこういうのをじっくり見たい気分。だから、たぶん今「アマルコルド」をみても、さほど面白がらないかもしれない。もちろん、これは今の気分だから、5年後、10年後には「アマルコルド」が見たい気分になっているかも。

「ハリーとトント」は1975年の1位。2位が「愛の嵐」で、3位がスコセッシの「アリスの恋」。少し前に「アリスの恋」について書いたときに、これ以降のスコセッシの活躍を考えると「アリスの恋」のほうが3位なのが不思議みたいなことを書いた気がします。「ハリーとトント」はポール・マザースキー監督で、このあとも「グリニッチビレッジの青春」とか「結婚しない女」とか話題作があったけど、その後はどうなんでしょうか。「ハリーとトント」は、たしか家で邪険にされている老人が犬を連れて家出する話だったと思うのですが、もしそうなら、日本人にもわかりやすいテーマだったのだと思う。アート・カーニーがアカデミー主演男優賞を獲得。

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2009年7月15日 (水)

1976年7月第2週に見た映画 (その1)

7月14日(水) シマロン・キッド (フジ) 3点

水曜日にフジテレビって、どの時間帯で放映したんでしょうね。オーディ・マーフィ主演の西部劇。IMDb で彼のフィルモグラフィーを調べたら、ありました。"The Cimarron Kid"。1952年の作品です。シマロン・キッドという実在した無法者がいたようです。監督はバッド・ベティカーだったのか。でも、バッド・ベティカーって監督、この頃は知らなかったはずです。ユニバーサル製作配給。アンソニー・マンの映画に「シマロン」っていうのがあるけど、シマロンって有名な地名なんだろうか。オクラホマ州にシマロン郡というのがあって、石油か何かでブームになった場所じゃないかと思うのですが。アンソニー・マンの1960年の「シマロン」は、1931年の「シマロン」の再映画化で、もともと原作が有名ならしいので、こういったことからシマロンはけっこう有名なのかもしれない。IMDb によれば、来年「シマロン」という映画が製作されるそうだけど、監督とか主演とかといったことは、まったく書かれていない。

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2009年7月12日 (日)

1976年7月第1週に見た映画 (その2)

7月11日(日) 宇宙水爆戦 (テレビ) 2点

日曜日の昼下がりにでも見たのでしょうか。ジェフ・モロー主演のアメリカ映画としか記録していません。もちろん、映画自体は何もおぼえていません。Google で検索してみると、まっさきにウィキペディアが出てきました。"This Island Earth" という原題の1955年のアメリカ映画で、監督はジョセフ・ニューマン。日本でも1955年に劇場公開されたようです。異様な昆虫人が出てくるらしいんだけど、全然思いだせない。IMDbによればユニバーサル製作配給。テクニカラーだけど、当時持っていたテレビは白黒。

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2009年7月11日 (土)

DVD "Controversial Classics Collection"

社会的な問題作を7本収録。「日本人の勲章」については7月2日に書いたので、残り6本について感想を少し。「日本人の勲章」はカラーでしたが、これらの6本はすべて白黒。

「仮面の米国」(I Am a Fugitive Chain Gang, 1932)
「暴力脱獄」や「ショーシャンクの空に」のように、ほとんど監獄の中だけで話が進むのかと思いきや、波乱万丈の男の半生をテンポ良く描いており、とても楽しめました。ポール・ムニの主演作を見るのは初めてだと思うのですが、非常にタフそうで、彼が主演だからこそ納得できる話のような気がします。彼の前作はハワード・ホークスの「暗黒街の顔役」で、まだ見ていないのが気がかりだったので、この前注文しました。届くのが楽しみ。監獄の状態は予想通りひどいもので、全編これならウンザリだったでしょうが、幸いなことに彼はガッツで脱獄し、なんと、立派な市民としての地位を築くのです。が、彼の過去を知る性悪女と結婚しなきゃならない羽目になり、またしても不幸な目に会うのです(最初に投獄されたときも、彼にとってはとばっちりを受けたような事件のせいでした)。さらに驚くべきことに、最後にはまたしても。すごいガッツだ。監督マービン・ルロイ。これ、フィルムノワールの本に収められているので、それを参照しながら、あらためて感想を書くことにしましょう。ワーナー製作配給。

「激怒」(Fury, 1936)
フリッツ・ラングのアメリカの初監督作品。スペンサー・トレイシーが誘拐犯と間違われて投獄され、暴徒と化した田舎町の町民たちが留置所に火をつけ、トレイシーは炎の中に消え去る。本当の誘拐団が捕まったためにトレイシーの無実が証明され、暴徒の主導者20名ほどが裁判にかけられる。シルビア・シドニーがトレイシーの恋人役。MGM製作配給。

「暴力教室」(Blackboard Jungle, 1955)
最初、テーマ曲の「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が、予想以上にいい感じで流れてきます。これで大ヒットして、最初のロックンロールとまで言われるようになります。「GTO」や「ごくせん」のように、新任教師が就任した時はどうにも手のつけられないような生徒たちですが、なんかいつの間にか良い子になっている日本の学園ドラマと違って、最後もまだそんなに良い子になっていないのが良かった。映画全体も予想していたほど健全なものにならなくて良かった。主演の新任教師はグレン・フォードで、彼の同僚にジャズレコード好きの教師がいて、貴重なコレクションを生徒たちに聴かせるのですが、案の定、生徒たちはそれらのレコードを粉々にしてしまう。このシーンなんて、こんなところに大事なものを持ってくる先生のほうが愚かに思えてしまう。一番悪い生徒がビック・モロー、まだましな生徒がシドニー・ポワチエ。監督リチャード・ブルックス。MGM製作配給。

「群衆の中の一つの顔」(A Face in the Crowd, 1957)
マスコミに祭り上げられてカリスマ的存在になる男の話。この頃大スターになったプレスリーの影響もあるんでしょうね。エリア・カザン作品というと、赤狩り時代の裏切りのために、いつも保留付きで見てしまうのですが、これはかなり面白かった。アンディ・グリフィス演じる豪快で粗野な主人公も良いけど、パトリシア・ニールに参りました。つんと澄ました賢そうな長身の女性というイメージがあったのですが、溌剌としたラジオのパーソナリティが新鮮だし、その後、グリフィスに振り回されて、だんだんおかしくなっていき、最後に破滅的なことをしてしまうあたりも自然でした。彼女がアカデミー主演女優賞を獲得したポール・ニューマン主演の「ハッド」をまだ見たことがないので、近いうちに見なきゃ。ワーナー配給。

「野望の系列」(Advice and Consent, 1962)
政界の話って難しそうだなあと思っていたら、なかなか面白かった。ヘンリー・フォンダを国務長官に任命するのが妥当かどうかを話し合う小委員会が舞台。問題は、フォンダが昔共産主義者だったのじゃないかという点で、やっぱり赤狩りが暗い影を落とす。しかし、フォンダは前半しか登場せず、後半は名前が出てくるだけで、消えてしまう。2年後の「未知への飛行」で大統領になるので、国務長官の任命なんてどうでもよくなったのか。いえいえ、焦点が別の議員の別の話題に移るのです。でも、今から見ると、ホモの問題が古臭すぎる気がして、そこまで悩まなくてもと思ってしまう。小委員会の様子が丁寧に描かれていて、興味深い。これが遺作となったチャールズ・ロートンが、なんか気持ちよさげに国会議員を演じています。ウォルター・ピジョンが観客にとって一番信頼が置ける議員として終始登場。「天国は待ってくれる」や「ローラ殺人事件」のジーン・ティアニーがセレブな婦人で出演。オットー・プレミンジャー監督。コロンビア配給。

「卑怯者の勲章」(The Americanization of Emily, 1964)
「メリー・ポピンズ」や「サウンド・オブ・ミュージック」は好きじゃないけど、この映画のジュリー・アンドリューズは可愛かった。アメリカ軍を風刺したコメディですが、初めのほうが酒と女ばかりで、真面目な私はウンザリ。ノルマンディ上陸作戦で一番最初に突撃して戦死する水兵を撮影して海軍のPR映画に使おうという計画で、ジェームズ・ガーナーが撮影を任されるが、自分自身が最初に突撃する羽目になってしまう、という話は笑えます。こういうのは生真面目に作ったほうが笑えるのでは。時々頭のおかしくなる上官がこの計画を考えついたり、ガーナーが一人でカメラ撮影をするっていうのは、ちゃっちい気がする。あるいは、もっと徹底的に茶化すとか。ジェームズ・コバーン共演。アーサー・ヒラー監督。MGM製作配給。

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2009年7月10日 (金)

1976年7月第1週に見た映画 (その1)

7月09日(金) 昭和館地下
 新幹線大爆破 4点
 動脈列島 2点

やくざ映画三本立ての昭和館には、この2年後からよく通うようになったのですが、この頃は新宿の裏通りにあるこの映画館を探し出すのがやっとだったはずで、今から考えると、本当に昭和館地下だったのかなあ、と思います。というのも、たぶん昭和館地下はアダルト映画専門だったからです。だから、もしかしたら地下のほうじゃない昭和館で、記録ミスなのかもしれません。

「新幹線大爆破」は、佐藤純彌監督、高倉健主演の1975年の東映映画です。60年代に人気を誇った任侠映画が下火になり、菅原文太を中心とする実録路線になじめない健さんが新しい自分を模索し始めたころの作品です。なにしろ、この前には「ゴルゴ13」やハリウッド映画「ザ・ヤクザ」に出ているし、このあとは「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」「野性の証明」に出るのだから。でも、どれも話題作ばかりだから、やっぱり健さんはすごい。「新幹線大爆破」はキネマ旬報の批評家選出ベストテンでは7位、読者選出では1位でした。スピードが80キロ以下になったら爆発するように仕掛けた犯人側に健さん、山本圭ら、国鉄の運転指令長が宇津井健、運転士が千葉真一。

「動脈列島」は、増村保造監督、田宮二郎主演の1975年の東宝映画で、これも新幹線を題材にしています。田宮二郎も60年代に人気だったし、このコンビには「黒の試走車(テストカー)」という黒シリーズのきっかけとなった人気作があります。黒シリーズには宇津井健が主演したものもあるし、増村以外の監督によるものもあるけど、シリーズ最後の作品も増村監督、田宮主演の「黒の超特急」(1964)で、新幹線公団の汚職を追及する話でした。健さんは現在まで人気を持続させているけど、田宮は1978年暮れに散弾銃で自殺してしまいました。「白い巨塔」の再テレビドラマ化が人気だった数年前、田宮主演の1978年のテレビドラマ「白い巨塔」が再放送されていましたが、品の良い唐沢君と比べ物にならないぐらいギラギラ度がすごかった。でも、その上昇志向が実生活上でも仇になったわけだ。「動脈列島」では捜査側の主人公を演じており、新幹線公害を理由に運行を妨害しようとする医師の近藤正臣と対決するらしい。らしい、というのは、ほとんどおぼえていないからで、唯一トンネルの出口の映像が頭に残っているのだけど、gooであらすじを読むと、やっぱり終りのほうでトンネルが関係するらしい。清水一行原作。

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2009年7月 9日 (木)

本「マキノ雅弘-映画という祭り」

「ノーマン・マクラレン マスターズ・エディション」が8月5日に日本で発売されるようです。でも、定価が24,000円で、日アマゾンで18,000円ほどだし、7枚組ではなく、5枚組らしい。私が米アマゾンから3年前に購入した時は送料込みで9,500円だったけど、今では本体価格が50ドルほどだから、送料込みで6,000円ぐらいで購入できる。米アマゾンは定価の半分のバーゲン価格らしく、ファンタシウムでは8,329円で送料を入れると10,000円ぐらいになる。ファンタシウムは、基本料金500円のほかに、1枚につき150円の手数料を取るから、7枚組だと送料がばかにならない。

山根貞男さんの「マキノ雅弘-映画という祭り」を読みました。昨年10月に新潮選書の一冊として発売されたもので、本体価格1,400円。私は「りゃんこの弥太郎」「昭和残侠伝・血染の唐獅子」「ごろつき」とか好きな作品もあるし、浅草東宝で「次郎長三国志」のオールナイトを見たこともあるけど、どうも、仲間でワッショイ、ワッショイというのを前面に出されると、孤独なヒーロー好きの私としては、あまり面白くない。そういえば、「ピアニストを撃て」や「八月のクリスマス」や「サムライ」の主人公たちは孤独だからなあ。そういうのに強く共感する。「昭和残侠伝」は、高倉健も池部良も孤独な人たちだから。でも、マキノ雅弘が「昭和残侠伝」を監督するのは4作目の「血染の唐獅子」が最初だから、もともとマキノ雅弘が創造したキャラクターではない。しかも、有名な8作目「死んで貰います」は、期待していたほど好きになれなかった。たぶん、健さんと藤純子の情緒たっぷりのやりとりが私のお気に召さなかったのかもしれない。だから、仲間との連帯とか、男女間の色っぽい交流とか苦手な私としては、あまり楽しめない本でした。

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2009年7月 8日 (水)

ノーマン・マクラレン作品 (21)

Neighbours 1952
約8分、カラー、サウンド、16ミリ
効果音:ノーマン・マクラレン
俳優: Grant Munro, Jean-Paul Ladouceur

前回、 YouTube で見ることができると書きましたが、本家本元のカナダ国立映画制作庁のサイトでも見ることができます。見ればわかるように、平和の象徴である花をめぐっての隣人たちの対立を描くことによって、国家間のばかげた争いを風刺しています。コマ撮りによるスラップスティック的な展開に笑っているうちに、驚くほど残酷な結末を迎えます。特に、両者の妻子があっという間に殴り殺されるのに唖然とします。最後に "Love Your Neighbours" という意味の各国の言葉が次々と出てきますが、日本語では「同胞に親切なれ」となっています。

1953年に、アメリカのアカデミー賞で、短編ドキュメンタリー賞を獲得しています(アニメ部門のほうがお似合いの気がするのですが)。アメリカやヨーロッパでは一般公開される際に、妻子が殴られる場面がカットされたそうです。マクラレンが平和主義者としての立場をとっているのはあきらかだし、この残酷なショットが平和主義のメッセージを伝えるのに非常に効果的だと思うので、これがカットされたのは残念です。マクラレンとしては、まったく公開されないよりは、カット版が公開されたほうが良いと思っていたらしいです。しかも、この場面の残酷性だけでなく、そのほかの場面に妻子が一切出てこないので、全体の統一感のためにもカットは許容できると思ったらしいです。彼はずっとカットされたことを後悔していなかったのですが、ベトナム戦争が始まると、何の罪もないものが犠牲となる場面をカットしたことを後悔し始め、その後、この場面を元に戻します(Terence Dobson, "The Film Work of Norman McLaren" による)。

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Gaumont Treasures 1897-1913

昨日書いた予約DVDの中に加えようと思っていた "Gaumont Treasures 1897-1913" について書き忘れてしまいました。KINO から発売される3枚組で、米アマゾンでは予約が開始されているのですがKINOのサイトにはまだ何も書いていないようだし、ファンタシウムもまだ予約を開始していません。ちなみに、KINOからは手塚治虫のアニメが今月下旬に発売されるようなんですが、Tezuka Olama となっていて、最初目にしたとき誰のことかわからなかったです(これを書いてすぐに Olama は訂正されたようです)。ただ、DVDのジャケットでは、ちゃんとOsamu になっているし、解説でも Osamu になっています。でも Osama とも書いていたりして、アメリカ人には日本人の名前がわかりづらいんでしょうね。

で、話をゴーモン社の宝物DVDに戻すと、三人の監督の短編集のようです。アリス・ギイ Alice Guy は女性監督でもあり、ゴーモンでかなりの地位を占めていた人です。私は "Alice Guy Blache" という本を持っているのですが、「私は銀幕のアリス」という本が日本でも出ているのを今知りました。日アマゾンによれば、定価が3500円ぐらいして、在庫切れなので、1500円の古本を注文しました。

ルイ・フイヤード Louis Feuillade は「ファントマ」「吸血ギャング団」「ジュデックス」で有名な監督。「吸血ギャング団」もシネシャモ上映会で仮想上映したなあ。ずっと前のような気がするけど、まだ4年前か(第22回上映第23回上映)。

もう一人のレオンス・ペレ Leonce Perret は初めて聞く名前です。リチャード・アベル Richard Abel の "French Cinema: The First Wave 1915-1929" と "The Cine Goes to Town: French Cinema 1896-1914" によく出てくる名前なので、この二冊が役に立ちそう。このDVDセット全体に対しても。

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2009年7月 7日 (火)

なんか、いろいろ予約しちゃったなあ

まずは "Becoming a Charley Chase" というチャーリー・チェイスの4枚組。もともと今年1月に出るはずだったのですが、発売元がつぶれちゃったのか、その時は発売されませんでした。別の会社が引き継いだのか、今月終わりに同じものが発売されるようです。今度はちゃんと発売してね。チェイスに関しては、第21回シネシャモ上映会で仮想上映しています。キノから発売されたチェイスの短編集を上映しているのですが、その後キノから第二集が発売されました。"Smile When the Raindrops Fall" という伝記が出ています。

8月上旬には "Icons of Screwball Comedy" というDVD2枚組が2セット発売されます。1巻には "If You Could Only Cook" (1935), "Too Many Husbands" (1940), "My Sister Eileen" (1942), "She Wouldn't Say Yes" (1945) が入っています。各作品については届いてから書くことにしますが、フレッド・マクマレーやロザリンド・ラッセルの主演作のようです。2巻には "Theodora Goes Wild" (1936), "Together Again" (1944), "The Doctor Takes a Wife" (1940), "A Night to Remember" (1943) が収められています。こちらは、アイリーン・ダン主演作二本とロレッタ・ヤング主演作二本です。アイリーン・ダンは、ケイリー・グラント、ラルフ・べラミーと共演している「新婚道中記」が傑作でした。これもシネシャモ上映会の第7回上映作品として仮想上映しています

8月の終わりにはクライテリオンから日活映画5枚組が出ます。こっちの収録作品は5月17日のシネシャモ日記に書いています

9月にはクライテリオンから小林正樹監督、仲代達也主演「人間の条件」の4枚組が出ます。もともと今月あたり出る予定だったのですが、5部と6部のステレオ版が見つかったとかで、DVDを作り直すようです。

クライテリオンからは Essential Art House というシリーズもあって、1枚ずつ別売りもされているようですが、何枚かまとめたお徳用セットもあるようです。なにかテーマごとにまとめているのではなく、世界の名作をばらばらに収めているようなので、食指が動かなかったのですが、9月に発売される第4弾は、見たい作品がいくつかあるので、セットを予約しました。6作品収められていて、マルセル・カルネ監督、ジャン・ギャバン主演で、アンドレ・バザンが大好きな「日は昇る」が一番ほしい作品で、ヒッチコックの「39夜」も久しぶりに見たいのです。あとは、黒澤の「蜘蛛巣城」、パウエルとプレスバーガーの「ホフマン物語」、ルネ・クレマンの「居酒屋」、アナトール・リトバクの「うたかたの恋」。

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2009年7月 6日 (月)

1976年7月に見た映画(概観)

第4週がないのは、映画研究部の合宿に行ったり、田舎に帰ったりしていたから。

第1週

  • 7月09日(金) 新幹線大爆破 (昭和館地下) 4点
  • 7月09日(金) 動脈列島 (昭和館地下) 2点
  • 7月11日(日) 宇宙水爆戦 (テレビ) 2点

第2週

  • 7月14日(水) シマロンキッド (フジ) 3点
  • 7月15日(木) アマルコルド (テアトル新宿) 5点
  • 7月15日(木) ハリーとトント (テアトル新宿) 4点
  • 7月16日(金) 関東破門状 (東京12) 3点
  • 7月16日(金) 続猿の惑星 (フジ) 4点

第3週

  • 7月19日(月) 孤独な関係 (TVK) 3点
  • 7月21日(水) 赤い鳥逃げた (新宿座) 4点
  • 7月23日(金) わが緑の大地 (池袋文芸坐) 4点
  • 7月25日(日) バーバレラ (テレビ) 3点

テレビ映画劇場などの説明と以前の鑑賞記録はこちら

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2009年7月 5日 (日)

1976年6月に見た映画 (その4)

7月?     おしゃれ泥棒 (大学の上映会) 4点
7月04日(日) 愛と死と (日曜洋画劇場) 4点

毎週映画を見ているときは、「月曜日が6月の終わりであれば、その週の途中で7月になったとしても、その週見た映画は6月に含める」というような原則を適用するのに違和感を覚えなかったけれど、この頃のように月に数本しか見なくて、月単位でまとめている場合、なんか変な感じ。しかし、この1、2年後には、毎週どんどん映画を見始めることになるので、この原則は守っていくことにします。

「おしゃれ泥棒」は、私が中学の頃リバイバル上映され、1971年の7月にディズニーのコメディ「ボートニック」との二本立てを見て、とても楽しい思い出になっています。少し前に「ボートニック」のDVDを買って見たら、作品自体も主演のステファニー・パワーズもこの程度のものだったのかとガッカリ。あの頃は映画に夢中になり始めた頃だから、何を見ても面白かったらしい。「おしゃれ泥棒」も、わりと最近テレビで見た記憶があるのだけど、もう終わってしまったNHK教育の日曜夜10時からの世界名作劇場とかというので見たんだったけかなあ。そのときも、さほど面白さを感じませんでした。60年代半ばのウィリアム・ワイラー監督、オードリー・ヘップバーン、ピーター・オトゥール主演の泥棒コメディなんだけど、当時小学生だった私は、両親に連れられて天満屋デパートに行ったとき、つばのない白い帽子をかぶったヘップバーンのポスターがいっぱい飾られていたのを記憶しています。たぶん、化粧品会社とタイアップしていて、1階の化粧品コーナーに飾られていたんじゃないかと推測します。

「愛と死と」はクロード・ルルーシュの1969年の作品。意外と点数が良いのは、この頃ルルーシュがわりと好きだったから。「男と女」「パリのめぐり逢い」「白い恋人たち」と、流行監督として調子よく活動していたわけですが、私はこれらよりも、70年代の「恋人たちのメロディー」、「冒険また冒険」、「男と女の詩」、「続・男と女」(ジュヌビエーブ・ビジョルドが出てた)が好きです。小品を才気煥発に軽々と作ってしまうのが良かったのですが、「マイラブ」とか「愛と哀しみのボレロ」で大作志向になってしまってから興味を無くしてしまいました。「愛と死と」はギロチン反対を訴えた映画だそうですが、キネ旬の世界の映画作家シリーズ11「トリュフォ/ルルーシュ」であらすじを読むと、主人公は売春婦を三人殺しているようで、これで反対を訴えられるのかと心配してしまう。ギロチンといえば、むしろドロンとギャバンの「暗黒街の二人」のほうが印象に残っています。で、フランスでギロチンがいつなくなったかと調べてみたら、1981年に死刑制度がなくなるとともにギロチンもなくなったそうです。でも、たぶん、「愛と死と」は、そんな社会的メッセージとは関係なく、面白く作られていたのだと思います。

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2009年7月 3日 (金)

本: The Mind and Its Stories

The Mind and Its Stories: Narrative Universals and Human Emotion
Patrick Colm Hogan (Cambridge University Press 2009)

読んだ本の感想もボチボチと書いていこうかな思っています。といっても、仕事の合間に一ヵ月ぐらいかけて少しずつ読んでいったし、わからない部分があっても、とにかく最後まで読もうとしたので、ボンヤリした印象しかないのです。

最初は2003年に発行されたのですが、今年になってから再発行されたようです。たぶん、米アマゾンが私に推薦している商品の中で見つけて、興味を持ったのだと思います。映画の理論を勉強しようと思っているうちに、映画論よりも物語論のほうに興味が移ったし、内向的な私が何かを論ずる際の材料といえば私の心の中しかないので、心理学的な方向へも進もうとしているのです。そんなわけで、この本の題名が私の興味を引いたのでした。

"Narrative universals" というのは、物語における普遍的なものという意味だと思います。というわけで、いろんな国の文学から共通のものを探っているのですが、西欧の文学だけでなく、アイヌの物語やサンスクリットの文学など対象が幅広いのに感心します。

物語にはいくつかのパターンがあって、それらは文化間で共通する感情によって決定される、と裏表紙の解説に書いてあります。幸せの基本は愛する者同士が結ばれるっていうことがどの文化においても共通している、というようなことが書かれている部分が一番印象に残っています。それより高次の幸せもあるのかもしれませんが、それでも基本は愛する者同士が結ばれることなのです。

これはロマンチックな物語に限ったことかもしれませんが、筆者は物語を大きく三つに分けており、ロマンチックな物語以外は、英雄の物語と犠牲的な物語です。それらが、どの文化にも共通する物語なのでしょう。

この本の参考図書の中で次の三冊に興味を持ちました。
Nico H. Frijida の "The Emotions"
Keith Oatley の "Best Laid Schemes: The Psychology of Emotions"
Mark H. Davis の "Empathy: A Social Psychological Approach"

やはり、どうも心理学の方向に進んでいるような。「心理学的な物語論に基づく映画の研究」ってところかな。ま、日曜学者として、楽しみながら読んでいくつもりです。三冊とも米アマゾンのマーケットプレイスで古本をわりと安く注文しました。最後のはまだ届いていませんが、最初の二冊は速達で1週間ぐらいで届きました。アマゾンのマーケットプレイスには速達で送れっていう条件はないので、これら良心的な業者に5点満点の評価を付けました。ま、船便で2ヵ月かかったとしても、ちゃんと届けば5点満点あげますけど。

今読んでいるのは、ずっと写真を飾っている "Masculine Singular: French New Wave Cinema" で、今月中には読み終わるつもり。何回も感想文を書いていくうちに、読み方や文章がうまくなってくれればいいんだけど。

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2009年7月 2日 (木)

「日本人の勲章」

以前から買おう買おうと思っていたドイツ時代のフリッツ・ラングのボックスセットが製造中止になり、在庫が残りわずかだそうなので、ファンタシウムに注文したら、すでに入手不能で、かわりに "Controversial Classics" という7枚組を購入しました。「野望の系列」「仮面の米国」「群衆の中の一つの顔」「激怒」「卑怯者の勲章」「暴力教室」も入っているのだけど、一番見たかったのが「日本人の勲章」(Bad Day at Black Rock, 1955)。

「荒野の七人」や「大脱走」のジョン・スタージェス監督による小気味良いアクション映画だとずっと思っていたのですが、予想外に渋い映画でした。アクションシーンって、主演のスペンサー・トレイシーがアーネスト・ボーグナインとロバート・ライアンをやっつける二箇所ほどしかないじゃん。あとは、さびれた田舎の町を静かにとらえているだけです。アメリカンニューシネマやセルジオ・レオーネの作品を思い浮かべました。レオーネ作品を思い浮かべたのは、たぶん、最初に列車が到着したときに、町の住民がぼんやり椅子に座って時間をもてあましているっていう情景が「ウエスタン」の冒頭を連想させたんだろうと思います。あと、クリント・イーストウッドが演じてもいいようなストレンジャーが主人公で、町に波乱を起こして、去っていきます。ただ、スマートなイーストウッドと違って、トレイシーは私がこれまで見てきた彼のどの作品よりも小柄に見えて、まるで片岡千恵蔵でした。

英語字幕を頼りに見ているので、詳しいことは分かりませんが、10件ほどの家がポツポツと建っているこの町がよく経済的に成り立っているなあと思います。リー・マービンやアーネスト・ボークナインなど、何もしていない男たちがぼんやり一日を過ごしているだけの不思議な町です。女っ気もなくて、はずれのほうで若いアン・フランシスがガソリンスタンドを営んでいるだけです(「禁断の惑星」の一年前)。

さっき書いたようにアクションシーンは少ないんだけど、強烈な印象を残します。一つは片腕のトレイシーがボーグナインを空手でやっつけるシーン。力道山も真っ青の空手チョップの威力。もう一つのロバート・ライアンとの対決も、あんな形でやっつけられるとはねえ。それにしても、フィルムノワールを買い始めて以降、ロバート・ライアンによくお目にかかるなあ。この作品は、フィルムノワールじゃなくて、現代の西部劇って感じですが。

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2009年7月 1日 (水)

ノーマン・マクラレン作品 (20)

マクラレンは、ユニセフの依頼で、アニメを教えるために、1949年に中国に、1953年にインドに行きました。その間、1950年から51年にかけて二つの立体映画 "Now Is the Time" と "Around and Around" を作っています。が、これはボックスセットに入っていないので、どんなものだったのかわかりません。1952年には "Neighbours" という社会風刺が効いた実写コントを作っているのですが、この作品については次回かそれ以降に(YouTubeで見ることができます。)インドへ行った影響かどうか、1957年の "Chairy Tale" という作品ではラビ・シャンカールの音楽を使用しています。これも実写コントです(YouTubeで見ることができます)。

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