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2009年7月11日 (土)

DVD "Controversial Classics Collection"

社会的な問題作を7本収録。「日本人の勲章」については7月2日に書いたので、残り6本について感想を少し。「日本人の勲章」はカラーでしたが、これらの6本はすべて白黒。

「仮面の米国」(I Am a Fugitive Chain Gang, 1932)
「暴力脱獄」や「ショーシャンクの空に」のように、ほとんど監獄の中だけで話が進むのかと思いきや、波乱万丈の男の半生をテンポ良く描いており、とても楽しめました。ポール・ムニの主演作を見るのは初めてだと思うのですが、非常にタフそうで、彼が主演だからこそ納得できる話のような気がします。彼の前作はハワード・ホークスの「暗黒街の顔役」で、まだ見ていないのが気がかりだったので、この前注文しました。届くのが楽しみ。監獄の状態は予想通りひどいもので、全編これならウンザリだったでしょうが、幸いなことに彼はガッツで脱獄し、なんと、立派な市民としての地位を築くのです。が、彼の過去を知る性悪女と結婚しなきゃならない羽目になり、またしても不幸な目に会うのです(最初に投獄されたときも、彼にとってはとばっちりを受けたような事件のせいでした)。さらに驚くべきことに、最後にはまたしても。すごいガッツだ。監督マービン・ルロイ。これ、フィルムノワールの本に収められているので、それを参照しながら、あらためて感想を書くことにしましょう。ワーナー製作配給。

「激怒」(Fury, 1936)
フリッツ・ラングのアメリカの初監督作品。スペンサー・トレイシーが誘拐犯と間違われて投獄され、暴徒と化した田舎町の町民たちが留置所に火をつけ、トレイシーは炎の中に消え去る。本当の誘拐団が捕まったためにトレイシーの無実が証明され、暴徒の主導者20名ほどが裁判にかけられる。シルビア・シドニーがトレイシーの恋人役。MGM製作配給。

「暴力教室」(Blackboard Jungle, 1955)
最初、テーマ曲の「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が、予想以上にいい感じで流れてきます。これで大ヒットして、最初のロックンロールとまで言われるようになります。「GTO」や「ごくせん」のように、新任教師が就任した時はどうにも手のつけられないような生徒たちですが、なんかいつの間にか良い子になっている日本の学園ドラマと違って、最後もまだそんなに良い子になっていないのが良かった。映画全体も予想していたほど健全なものにならなくて良かった。主演の新任教師はグレン・フォードで、彼の同僚にジャズレコード好きの教師がいて、貴重なコレクションを生徒たちに聴かせるのですが、案の定、生徒たちはそれらのレコードを粉々にしてしまう。このシーンなんて、こんなところに大事なものを持ってくる先生のほうが愚かに思えてしまう。一番悪い生徒がビック・モロー、まだましな生徒がシドニー・ポワチエ。監督リチャード・ブルックス。MGM製作配給。

「群衆の中の一つの顔」(A Face in the Crowd, 1957)
マスコミに祭り上げられてカリスマ的存在になる男の話。この頃大スターになったプレスリーの影響もあるんでしょうね。エリア・カザン作品というと、赤狩り時代の裏切りのために、いつも保留付きで見てしまうのですが、これはかなり面白かった。アンディ・グリフィス演じる豪快で粗野な主人公も良いけど、パトリシア・ニールに参りました。つんと澄ました賢そうな長身の女性というイメージがあったのですが、溌剌としたラジオのパーソナリティが新鮮だし、その後、グリフィスに振り回されて、だんだんおかしくなっていき、最後に破滅的なことをしてしまうあたりも自然でした。彼女がアカデミー主演女優賞を獲得したポール・ニューマン主演の「ハッド」をまだ見たことがないので、近いうちに見なきゃ。ワーナー配給。

「野望の系列」(Advice and Consent, 1962)
政界の話って難しそうだなあと思っていたら、なかなか面白かった。ヘンリー・フォンダを国務長官に任命するのが妥当かどうかを話し合う小委員会が舞台。問題は、フォンダが昔共産主義者だったのじゃないかという点で、やっぱり赤狩りが暗い影を落とす。しかし、フォンダは前半しか登場せず、後半は名前が出てくるだけで、消えてしまう。2年後の「未知への飛行」で大統領になるので、国務長官の任命なんてどうでもよくなったのか。いえいえ、焦点が別の議員の別の話題に移るのです。でも、今から見ると、ホモの問題が古臭すぎる気がして、そこまで悩まなくてもと思ってしまう。小委員会の様子が丁寧に描かれていて、興味深い。これが遺作となったチャールズ・ロートンが、なんか気持ちよさげに国会議員を演じています。ウォルター・ピジョンが観客にとって一番信頼が置ける議員として終始登場。「天国は待ってくれる」や「ローラ殺人事件」のジーン・ティアニーがセレブな婦人で出演。オットー・プレミンジャー監督。コロンビア配給。

「卑怯者の勲章」(The Americanization of Emily, 1964)
「メリー・ポピンズ」や「サウンド・オブ・ミュージック」は好きじゃないけど、この映画のジュリー・アンドリューズは可愛かった。アメリカ軍を風刺したコメディですが、初めのほうが酒と女ばかりで、真面目な私はウンザリ。ノルマンディ上陸作戦で一番最初に突撃して戦死する水兵を撮影して海軍のPR映画に使おうという計画で、ジェームズ・ガーナーが撮影を任されるが、自分自身が最初に突撃する羽目になってしまう、という話は笑えます。こういうのは生真面目に作ったほうが笑えるのでは。時々頭のおかしくなる上官がこの計画を考えついたり、ガーナーが一人でカメラ撮影をするっていうのは、ちゃっちい気がする。あるいは、もっと徹底的に茶化すとか。ジェームズ・コバーン共演。アーサー・ヒラー監督。MGM製作配給。

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