5月にクライテリオンからDVDが発売されるので、どんな作品が調べてみました。例によって、"Film Noir: An Encyclopedic Reference to the American Style" を利用していますが、ポーリン・ケイル女史が "5001 Nights at the Movies" に書いている評も読んでみます。
ジョージ・V・ヒギンズの原作が「エディ・コイルの友人たち」という題名で1976年にハヤカワ文庫から出ていますが、映画は日本劇場未公開。主演のロバート・ミッチャムとしては1974年の「ザ・ヤクザ」の前の作品で、監督のピーター・イエーツとしては、「ブリット」「ジョンとメリー」「マーフィの戦い」「ホットロック」に次ぐ作品。
パラマウント製作配給。プロデューサーと脚色はポール・モナッシュ。音楽デイブ・グルーシン。撮影ビクター・J・ケンパー(テクニカラー、パナビジョン)。ロケ地はマサチューセッツ州ボストン。102分。
あらすじ
前科三犯の中年男性エディ・コイル(ロバート・ミッチャム)は保釈中の身であり、次の裁判で残りの人生を刑務所で過ごす羽目になるかもしれない。エディは警察の密告者になって、財務省の諜報員デイブ・フォリー(リチャード・ジョーダン)との司法取引に応じる決心をする。だが、エディは、マフィアのために、不正な商品を州間で輸送する仕事も続けている。警察は、エディの刑期を縮める気がないのに、エディに情報を提供するよう圧力をかける一方、マフィアも彼を不正にあやつろうとする。コイルの友人ディロン(ピーター・ボイル)は、密告者を殺害するようマフィアから依頼される。ディロンは、殺す相手がエディだと知るが、殺しをやり遂げる決意をする。畜殺される前に太らされる豚のように、エディはディロンから大いにもてなしを受ける。ホッケー試合を観戦し、何杯か飲んだあと、エディは寂しい場所に連れて行かれ、殺され、捨てられた車の中に放置される。
解説
この頃の他の犯罪映画以上に40年代後期のフィルムノワールの雰囲気を感じさせる。フィルムノワールの要素が数多くみられる。圧倒的な退廃のムードに絶望感やあきらめの気分かからまっているだけでなく、疎外感や恐怖感も際立っている。「エディ・コイルの友人たち」が描く現代社会は、フィルムノワール環境の目標や状況に今なお囲まれている。暴力の儀式化さえ残っている。たとえば、エディの処刑が引き延ばされるあたり、アンソニー・マンやジュールズ・ダッシンの最良の作品を思い起こさせる。ミッチャムの存在によって、1940年代のフィルムノワールとの肉体的なつながりがもたらされている。というのも、「過去を逃れて」「十字砲火」「脅迫者」といったノワール作品によって確立されたミッチャムの人物像が、「エディ・コイルの友人たち」までに、どこにも逃れられない現実に直面している中年男性に変質しているからだ。エディが接触する警察やチンピラたちのシニックぶりも、ノワール的な雰囲気を強めている。悲観的な結末、ピーター・ボイル演じる人物のグロテスクな描写、さまざまなチンピラたちは、この映画の他の堕落的な特徴とともに、「エディ・コイルの友人たち」を「チャイナタウン」「さらば愛しき女よ」などのフィルムノワールへの敬意を示した映画よりも本当のフィルムノワールに近づけている。
ポーリン・ケイルの評
ボストンのアイルランド系悪漢と警官。またもやロバート・ミッチャムはごろつきで、ムショ暮らしから逃れるために、利口で不誠実な麻薬捜査官(リチャード・ジョーダン)にちょっとした情報を漏らす。バーテンダーのピーター・ボイルは、殺人の依頼をあやつって、無情に、すべての派閥が互いに敵対するように行動する(ruthlessly plays all sides against each other)。マサチューセッツ州の副法務長官だったジョージ・V・ヒギンズの原作に基づいたこの映画は、もっと良くなるはずだった。プロットとセリフは一級だ。すべての要素が整っている。適切にもうすのろに見えるミッチャムは頑張っているし、いくつかの良いシーンもある。だが、会話がアクションよりも速く進みすぎる印象を受ける。たぶん、イギリス人のピーター・イエーツが監督したこの映画には、環境(ミリュー)を本能的に感じとれるアメリカの監督が必要だったのだろう。映画は深みがなく、少し機械的で、音や騒々しい音楽によって興奮させようとする。物語が描こうとしているのは、からみあった結びつきなのだが、警察とギャングには何の結びつきもない (The police and the gangsters have no roots, and intertwined roots are what the story is meant to be about)。ぞっとするほど愉快そうに演じているリチャード・ジョーダンが最も印象的な演技をしており、拳銃のディーラーを演じるスティーブン・キーツが最も人目を引く。
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