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2008年11月14日 (金)

フィルムノワール(150): Lady in the Lake (1947)

今回は、あらすじを省略して、解説だけにします。

150. Lady in the Lake (1947) 湖中の女

監督主演ロバート・モンゴメリー、原作レイモンド・チャンドラー、脚本スティーブ・フィッシャー、撮影ポール・C・ボーゲル、音楽デビッド・スネル、他の出演ロイド・ノーラン、オードリー・トッター(エイドリアン)。MGM。105分。

最も異常なハリウッドの実験作品の一つである「湖中の女」は、ほとんど私立探偵フィリップ・マーロウの視点から撮影されている。この一人称カメラで撮影されていないのは、マーロウが椅子に座って、プロット上の様々な混乱要因を紹介し、謎を自ら解明して「予期しないことを期待する」よう観客に促す場面のみである。マーロウの視点のみに限定することで、マーロウにふりかかる不意の暴力のテンションと効果が高まる。特に興味深いのは鏡の使用である。マーロウがラベリーを訪ねた時、マーロウは鏡のそばにある時計を見る。マーロウは気づいていないが、ラベリーがマーロウを殴ろうとしているのがチラッと鏡にうつる。その直後、実際にマーロウは殴られ、画面が真っ暗になる。ついでながら、マーロウが相手の話を聞いている時、一人称カメラはマーロウの印象を記録する。たとえば、マーロウがエイドリアン・フロムセットに会っている時、魅力的な受付嬢が入ってくるのだが、マーロウは彼女の動きをずっと追って、彼女は誘惑的な表情で彼の「凝視」に答える。この技法は、視覚的な興味を増すだけでなく、エイドリアンのもったいぶった感じとマーロウの荒っぽいが、より誠実な人柄を対比させる。一年後にデルマー・デイビスが監督した「潜行者 Dark Passage」では、全体の半分ほどを一人称カメラが占め、この手法がプロットにとってより重要なものとなっているが、「湖中の女」のような一貫したカメラの人格化に欠けている。「潜行者」のカメラは、効果的に室内をうろつかないし、人物を細かく観察しない。

セリフはタフで肝がすわっている。マーロウに皮肉っぽいセリフは、ほぼ原作どおりである。たとえば、エイドリアンが「あなたの態度が気に入らないわ」と言うと、マーロウは「売り物じゃないからね」と答える。原作のエイドリアン・フロムセットはボスの献身的な情婦として半ば秘密めいているが、映画では完全な人物に仕上げられ、初めのほうではマーロウの主たる敵役となっている。言葉による彼らの対立関係は、謎がほとんど解けるまで活発に続く。最後に二人は互いにひかれていることを告白するのだが、これは、どんなに不自然であろうと観客はロマンチックなハッピーエンドを求めているという映画製作者の確信に基づいたセンチメンタルな驚きである。

結局、「湖中の女」で起こることは取るに足らないことである。観客に求められている視覚的な試練と通常の知覚の停止によって、完全なドラマ展開の必要性がなくなっている。ちょうど、機能上、「三つ数えろ The Big Sleep」の物語展開の混乱が問題とされないように。「湖中の女」の監督兼主演のロバート・モンゴメリーは、一人称スタイルにフィルムノワールのタッチを加えている。たとえば、弾丸で粉々になったシャワー室のガラスドアの向こうでジゴロの死体が見つかったり、警察がひどく敵対心を持っていたり、ミルドレッドの隠れ家が荒廃していたりする。しかし、モンゴメリーがフィルムノワールの社会的締めつけや存在論的苦悩を十分に喚起する人物やスタイルを見つけるのは、次の監督作品 “Ride the Pink Horse” である。

前にも書いたように、これは Film Noir Classic Collection, Vol. 3 というDVDボックスセットに入っています。来月買うつもりです。他の作品は次のとおり。すべて “Film Noir: An Encyclopedic Reference to the American Style" で解説しています。

  • 30. Border Incident (1949)
    監督アンソニー・マン。出演リカルド・モンタルバン、ジョージ・マーフィ。MGM。
  • 115. His Kind of Woman (1951) 替え玉殺人計画(テレビ題名)
    監督ジョン・ファロー。出演ロバート・ミッチャム、ジェーン・ラッセル、ビンセント・プライス、ティム・ホルト。RKO。
  • 201. On Dangerous Ground (1952) 危険な場所で
    監督ニコラス・レイ。出演アイダ・ルピノ、ロバート・ライアン。ワード・ボンド、エド・ベグリー。RKO。音楽バーナード・ハーマン。
  • 220. The Racket (1951) 脅迫者(テレビ題名)
    監督ジョン・クロムウェル。出演ロバート・ミッチャム、リザベス・スコット、ロバート・ライアン。RKO。

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